続・狼彼氏×天然彼女
すると腰を下ろしてる舜が、あたしを見上げて『お前は?』と聞いてきた。
その問いに『あたしも同じ』と答えたら、舜が突然立ち上がった。
「このままサボるか」
「…え…?」
自分んちの海の家なのに、しかも自分からアルバイトするとか言ったのに、サボる?
意味不明ですけど。
「どーせ客だって来ねぇんだし、このまま突っ立ってても面白くなくね?」
そしてあたしの腕は引っ張られ
足は自然に動いた。
このまま2人で、どこか遠くへと行けてしまえたら
周りを考えずに生きていけるのかな?
ヤキモチなど妬かずに
不安など抱かずに
ただ好きって気持ちだけあれば生きていけるのかな?
「何ぼーっとしてんだよ」
この声も、独り占めに出来るのだろうか…。
「応答なしか?」
ザーザーと鳴ってる海の音しか聞こえない。
横に座ってる愛しい人の雰囲気しか感じられない。
掴まれてる腕の部分だけが熱く熱をもっていて
足の裏の砂の感触だけが分かる。
「…キス、すんぞ」
夕焼けは、いつもよりも2人を赤く照らしていた。
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