続・狼彼氏×天然彼女
「実紅」
俺がそう呼ぶと、実紅は振り返って驚きが隠せない感じでいた。
「…な、なんで…?」
「心配になって」
「…心配?」
そう、心配。
修夜に告られた実紅は、どんな態度で、どんな返事をするのか
断んのか、OK出すのか
前から実紅も気付いてたのか
気付いてなかったのか
……俺に告られた事を言うのか
……内緒にすんのか。
「襲われてねぇか心配なんだよ」
それでも俺はその事に触れない。
わざと。わざと実紅から言わせるために。
あえて、その話には一切触れることなく修夜んちの前で数分喋っていた。
「襲われないよ。いくら修夜でも人の彼女には手を出さないでしょ」
そう言い張る実紅の唇は、遠くからの俺でも分かるくらい、ほのかに震えていた。
手も
膝も
体全体が
震えていた。
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