はつこい・いちご【短編】
私は驚いてとっさにエリに、


「あれ? 私?」


などと意味不明なことを言っていた。


「そりゃそうでしょ。
だって私、折り畳み傘持ってるし」


エリは小声で言いながら、
ピンク色の小さな傘を振ってみせた。


「そう…だよね…」



私はもう一度彼を見るが、
今度はもっと緊張して、
とても何か話せそうにない。



「傘、
持ってないの?」


私がうなずこうとすると、


「そうなの!
私はちゃんと、ホラ、あるんだけど~、
この子うっかり忘れちゃったみたい!」



エリがちょっと明るすぎる大きな声で、
それでも私の気持ちを代弁してくれる。
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