はつこい・いちご【短編】
高校1年の夏、購買に向かって走っていた。


夏の暑い時期には、少しでも行動が遅れてしまうと、
すぐにジュースやお茶といった飲み物が売り切れてしまう。


購買でお昼を買うとき、
さすがに昼休みが始まってからでは、
あんパンなどのお腹にたまらなさそうなものしか売れ残らないため、
朝のうちに好きなものを買っておいて、番号札を受け取っておく。


そうすると、どれだけ暑い日でも、
ちゃんと室内でお昼ご飯を保管しておいてくれるのだ。


というわけで、私は走っていた。


一番の希望はレモンティー。
二番目はりんごジュース。
三番目はウーロン茶。


もしも炭酸とかしか残っていなかったらどうしよう。


階段を駆け下りて、曲がり角を曲がる。
そのとき。


フッと目の前が暗くなるのを感じて、
私は急に立ち止まった。
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