はつこい・いちご【短編】
ピタッと、動きを止めた私は、一本の木のように直立状態になる。


……良かった。


目の前には学ランを着た生徒が立っている。

私と同じように、急な出現者にびっくりしているらしい。


この人にぶつかったりしなくて、良かった。


何故なら、私はちょこっと男子が苦手だから。


昔から男の子が苦手で、小学校や中学校のときも、
あまり話したことすらなかった私。


もしもぶつかったりしたら、睨まれて怒られてしまうかもしれない。


そう考えて、私はドキドキしながら、
スウーっと視線を学ランの上の方へ……顔へ……移していった。
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