雪解け水
「 ――おん、詩音ッ!」



「あ、ごめん。どうしたの?」




「ちょっとー、どうしたのじゃないよ。さっきから呼んでたのに。」


「あーホント?ごめんっ。」


どうやらお昼食べてる最中に昔の思い出(?)の世界に引き込まれてたようだ。



「まったく〜、人が話してる時にトッリップしないでよぉ。」



「ごめんってば。」



てか、話してたんだ。
全然気づかなかった。


こんなんだから人付き合いが上手くないんだろうな、アタシ。ま、気にしてないけど。人付き合いなんて必要ないし。



なんて考えていると未帆が口を開いた。アタシはとっさに身構えていた。未帆は根に持つタイプだから。


「まぁ良いけどさ。で、話なんだけど。」




やけにあっさりしてると思ったら、、早く話したいわけだ。


たぶん…



「楢橋恭矢(ナラハシキョウヤ)のこと!?」


「そう!!!」



やっぱり。
楢橋恭矢とは未帆の好きな人のこと。



未帆が何度も何度も楢橋の良さを語りまくる為、人の名前を覚えるのが苦手なアタシでもしっかりインプットされてしまうくらいだ。





*
< 15 / 35 >

この作品をシェア

pagetop