雪解け水
アタシの部屋は2階で、リビングを通らないとたどり着けない。

つまり、母親に会う確率がかなり高い。


今更ながら早く帰ってきたことを後悔する。とは言っても、家に着いてしまったんだからどうしようもない。


アタシの母は夜の仕事をしている。昔は昼も働いていたが、今はお金に困っていない…というより持て余す程ある為夜だけ。

自分の店を持ち、そのお店のママをやっている。昼間に出掛け夜中に帰ってくるアタシとは真逆の生活になる。

アタシにとっては会わなくていいから嬉しかったり。


いつのまにこんな関係になってしまったんだろう。


小さい頃は母は今より忙しかったが、話をしたり外出もした気がする。

でもそれはアタシの中で勝手に創り上げたものであるような気もする。アタシの心の中にある思い出はアタシの願望なのではないかと…。



どちらにしろ、今ではまるで他人。二人の間にあるのは血の繋がりだけと言っても過言ではない。




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