甘くないコーヒー
「明日見は、キレイだよ。」

オレの声はガラガラだった。

「だって、キレイな空や海を教えてくれたじゃないか。 キタナイ人間は、自分の事しか考えてないんだ。だけど、明日見は、オレの事を楽しませてくれてるよ。それでも、キタナイのか?」

少し言葉がキツくなってしまった。


明日見は、まだ顔を伏せたままだった。


その姿は少女のようで、儚く消えてしまいそうだった。


明日見は、立ち上がると何も言わず出て行った。
オレは、追いかけられなかった。

なんて声をかけていいのか分からなかったからだ。


< 30 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop