甘くないコーヒー
無言
明日見が、ある日突然、戻ってきた。


家の中に招き入れると、明日見は、居間へ向かい、何も言わずに膝を抱えて座った。


オレの方を見もしなかった。


オレは、何も言わずにタバコに火を点けた。

いつもなら、ここで何かを言うのだが、明日見は何も言わなかった。

少し痩せたように見えた。

元々、小柄であったが、一回り小さくなっていた。

髪は出会った頃より、少し長くなったようだ。


お互いに、何て声を掛けようかと思案しているようだった。


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