甘くないコーヒー
2人で台所に立った。

しかし、明日見は、つまみ食いをするばかりであった。

天ぷらや、漬物などを次々とつまんでいく。

「そんな事してたら、なくなっちゃうだろ。」

オレは、笑いながら言った。

「だって、美味しいんだもん。」

口を尖らせた明日見は、本当に可愛かった。

「どうしても、別れなきゃいけないのかな。」

包丁を持ったまま、オレは明日見に尋ねた。

「分からない。でも、楽しくて、お互いが好きな同士で、サヨナラした方がいい気がする。」

なんだか、人気絶頂のアイドルが引退する時のセリフみたいだなぁと思った。


「でも、いつでも会えるんだろう?」

明日見は、黙ったままだった。

「たまに会って話すくらいはいいだろ?」

やっぱり、明日見は、黙ったままだった。
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