夏の日の終わりに

クリスマスの光

 藍ちゃんのことがあってからしばらくは重い空気が院内に流れるかと思っていたが、意外やみんなそのことを口に上らせることはなく、すぐにもとの賑わいを取り戻していた。

 特に理子は、以前にも増して明るくなった印象をうける。

(というより……)

 テンションが高いと言ったほうが正解かもしれない。


 そんな中、いつものメンバーでトランプをしていた時だ。釘尾さんがその話を切り出してきた。

「もうすぐクリスマスだな。なんかする?」

 目を輝かせたのは理子だった。

「クリスマスパーティー!」

「どこですんのよ?」

 病室でクリスマスパーティーなど想像できない。僕はその疑問を洩らした。

「ここでやろうよ」

「ここ?」

「そう、脩君のベッドを飾ってやろうよ」

 なにを馬鹿な!……と言いかけた僕をよそに、美香さんまでが乗り気で賛成の意を表す始末だ。

「いいねえ、やろうやろう」

 森君の笑みは悪乗りとしか思えない。このベッドを飾り立てるという案だけは却下したい。このままでは完全なさらし者だ。

「いやいや、もっと別な……」

「リボンとか買ってきてさ」

「いいそれ!」

「色紙でほら」

「チェーン作ってね」

「いや、だからさ……」

「酒とかどうする?」

「釘尾さん買ってきてよ」

「お前も飲むのか?」

 僕の意見がまったく通らない。その計画は一人僕を除いて全員一致となり、着々と計画が練られていった。
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