深海の悪夢~リヴァイアサン浮上せよ
悪魔の牙
 ゴオオオォォォン

 リヴァイアサンの艦内に、何度目かの衝撃音が響く。

「何なんだよ、一体どうなってんだ!」

 機関室から、ヴァネッサ・ローゼニアの男勝りな怒声が届く。

「何一方的にやられてんだよ、さっさと撃ち返してやれよ!」

 ヴァネッサは通信機を握り潰さんばかりにまくしたてる。

 それなりに化粧をすれば見栄えのする美人なのだが、おそらくいつものように油まみれの顔でポニーテールを振り乱しているのだろう。


「敵の素性も現在地も不明だ。攻撃も魚雷によるものではないようだが、それ以上のことは分からない」

 ブリッジの艦長席から、中嶋津也が冷静に答える。
「魚雷じゃねえって、じゃ何だってんだよっ」

 ヴァネッサの怒声は納まらない。

 対する津也は涼しい顔だ。

「外殻の損傷がほとんどない。実体弾ならもっと破損するはずなんだが…衝撃波かな」

 ヴァネッサに答えるというわけでもなく、淡々と呟く。

「艦長、攻撃は同時に複数の方向から行われたようです」

 ソナー室から送られたデータを解析していたリオス・ブランドンが艦長席のモニターに画像を投影する。
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