酒店童子。
対話
私は階段を降りると、パジャマ姿のままに、店に通じる扉を開いた。

「薫!駄目じゃないか!風邪ひきなら寝ていなきゃ!」

私に気が付くと、真っ先にお父さんが叱りつけるように声を荒らげた。

「ごめんごめん。寝てたら、ちょっとお腹減っちゃって…」

わたしは謝りながら、ビスケットの袋を棚から取った。

「あ〜もう…清算面倒じゃない…」

お母さんはぶつくさ言いつつ、レジでお客さんをさばいている。

私はそのお母さんの横をすり抜けると、軒先に出て、外の空気を深呼吸で体に取り込んだ。

昨日まで降り続いた雨も今朝は上がり、空は何事も無かったかのように澄んだ蒼で統一されている。

「熱は何度だったの?」

振り返ると、母親が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「大丈夫。明日には下がるよ。」

私はそう答えて、焼酎が並ぶ棚と棚の間をすり抜け、再び店の奥へと下がった。
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