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「おい、下がってろ」
「え?うわっ」
頭の上で声がした。
でも見上げる暇もなく、背中の服を掴まれて、引きずられるように、その人の後ろに引っ張られる。
ひょこっと少し顔を上げると、目の前にあたしの引っ張った人の足と、さっきの女の人が見えた。
目の前の人は指をパチンとならした。
その瞬間、一面に波が出き、ザブーンと女の人に向かう。
まずい、という顔をする女の人。
でも時既に遅し。
波に飲み込まれた女の人は、波がひいたときには姿を消していた。
女の人の変わりに、赤く小さく何かが光っていた。