lacrimosa
「アンジェロって…、13歳だよね?」
訝しむように目を細めてサーシャが問う。
すると、小鳥を撫でながら遠く窓の外を見つめていたアンジェロは我に返ったように笑った。
『そうだよ?あ、でも人間の13歳とは少し違うのかなぁ…』
「へぇー…」
急に大人びたことを言うアンジェロが一瞬とても遠くに感じられて、サーシャは訳もなく不安になった。
『大丈夫だよ、僕とサーシャはなにも変わらないから』
サーシャの不安に気づいたのか、アンジェロはいつものように優しく笑った。
『でもサーシャ、僕がさっき言ったこともう一度だけよく考えてみて?
…特にパパとママは、この世で一人ずつしか、いないんだからさ』
ね?と傾いだアンジェロの首。白い小鳥は安心したように毛繕いをしたあと、勢いよく外へ飛び去る。
『じゃあね…』
小鳥のその面影をいつまでも見つめて、アンジェロは小さく呟いた。