lacrimosa







『どうにもならないよ。

言ったでしょ?これが僕の仕事だ、って…』


どこか寂しげに、けれどその使命には誇りを持っているかのように、手許に落とした視線は笑う。



(…アンジェロ)



彼がどこかへ行ってしまいそうで、サーシャは怖かった。




「ねぇ、私にはもう羽をくれたじゃない?

それなのにどうしてアンジェロは私のところに来てくれるの?」



(…天使の仕事でやつれるくらい忙しいのに。…どうして?)



するとアンジェロはぼんやりして手許の向こうに遠くを見つめていた瞳を現実に引き戻し、

サーシャのほうへ向いた。




『サーシャがほっとけないからだよ』

「どうして…?私はなにも困ったことなんて、」

『パパとママが大好きなくせに、倒れたって駆けつけないでしょ?

ちゃんと、素直な思いを2人に伝えてほしいんだ』



(…何で?)



「そんなことのために?」



(…アンジェロには関係ないじゃん)










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