lacrimosa







戻ってきたら伝えたいことが山ほどある。

今までは言えなかった、ごめんなさいやありがとうだってきっと素直に言わなければいけないのだ。



(…あぁアンジェロ、会いたいよアンジェロ)



幸せの羽の有効期限も気になった。あと数日で訪れるクリスマスイヴ。

それがサーシャに贈られた幸せの羽の寿命だった。



(…アンジェロ、)



――天使なんかじゃないけど、僕からのアドバイス


あれは、どういう意味だったんだろう。

あの後ろ姿がやけに気になって、胸がざわめいた。




アンジェロが私に指摘したことは本当のところ全部正しいのだ。

今まで、目を背けていたこと――周りの人間からも自分自身からも、現実からも逃れていたこと。

本当は心のどこかでわかっていたのだ。


アンジェロが、他でもないその言葉で気づかせてくれたもの。

その値は計り知れない。

サーシャは変わろうとしていた。今度こそ、アンジェロに自分をみて心から笑ってもらえるように。

幻滅させてしまったものを取り戻そうと。



―――胸を張って彼の前で笑えるように










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