lacrimosa







「…ハ、羽は?!羽だしてよ、アンジェロ!

天使の羽があれば、元気になるでしょ、きっと…!」


彼の体を揺さぶりながら、必死に促す。

これで彼が助かればと、藁をも縋る思いで、必死に一縷の希望への笑顔を作る。


――ところがどうだろうか、


アンジェロは微かな笑みを萎ませて、僅かに唇を噛み、悲痛な表情を見せる。

金色の睫は震え、




『ごめん、ネ、』


何故、謝るのだろう。




『…ゴメ、ナサ、ィ

僕は…、最初に言った通り、…天使なんかじゃ、ないんだ』



(………え)



呆気にとられた私の表情など彼にとっては想定内だったのだろう。

噛み締めた口角をあげ、微笑む。




『…僕、は』


みるみる内に張った膜の中。

青い瞳が溺れるように揺らぐ。




『……僕は、ね、

―――天使を失格になった、堕天、……だから』


それは自嘲だろうか。

酷く、綺麗に口端をあげて笑う。



(…あ、)




その瞬間、瞬いた金色の睫と共に、膜は破られ、ツー…――と。それは零れ落ち。




―――天使の、涙




輝くそれは、なんて美麗なのだろうと。










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