lacrimosa
『…だけど、もう、
その堕天にさえ、成りきれないけど、』
クッ、と鈴を転がすような微笑が漏れ、その拍子に揺れた体は悲鳴をあげる。
原因は解らない。
―――なんで、こうなったの
「…堕天、って。ハッ、そんな…まさか…そんなわけない。
だって私ちゃんと見たよ。
真っ白にキラキラ輝いたアンジェロの羽。
堕天の羽は灰色なはずでしょ?」
そう、見た。
この世のものとは思えぬ程に壮麗で、神々しいそれを。
この目で。
『……、』
アンジェロは笑うのを止め、諦めたように目をそっと伏せると、静かに息を吐いた。
それはどこかで見た光景で。
「アンジェロ…?」
バサリ。
―――くッ。
眩しさに顔を腕で覆い目を瞑った。
けれど、後光を放つかの如く、耐え難いほどに煌めく金色の光は一瞬にして、
消えた。
(…あれ)
窺うようにうっすら瞼を持ち上げれば
――――――な、
『…ね、?』
情けなく笑う、アンジェロが居た。