大好きなアナタへ。




「行ってきまーす。」



先に家を出たのは実咲。



「実咲、忘れ物!」



お母さんは慌てて、リビングから持ってきた携帯を手渡した。



「テーブルの上に置いたままだったわよ」


「有難う、行ってきま〜す。」



ガチャッ‥‥



「何か‥、実咲って変わったよね。」



「3年生になったからかしらね。」



お母さんはニコニコしながら言った。



「今思うと小学校の頃の実咲‥、可愛かったなぁ‥。」



「あの頃はまだ小さかったから未歩に遊んでほしかったのよ。」



お母さんと話していると、リビングからお父さんがこっちに来た。



「お父さん、もう行くの?」


「あぁ‥今日は忙しいから早めに出るんだ。」



私が聞くとお父さんは笑顔で答えた。



「アナタ、行ってらっしゃい。」


「行ってきます。」



ガチャッ‥‥



あんな2人のやり取りを見ていると、新婚夫婦に見えてしまう。


それだけ仲が良いんだけどね。



「未歩も行ってきなさい。優香ちゃんと待ち合わせして行くんでしょ?」


「あっ、忘れてた!」



私は急いで靴を履き、家を出た。



「行ってきます!!」


「行ってらっしゃい。」



私は全力疾走で、3つにわかれている道を目指した。
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