縁隔操作(えんかくそうさ)
そこの店員はユリアを見ても驚いたような素振りは見せなかった。どうやらこの市内の人たちには理科学研究所からロボットの実験の事を知らせてあるらしい。ユリアが支払いを済ませその場でコートを着せてもらったところで、俺の手の中の装置が「ピロピロリーン」と鳴った。
ユリアは一瞬びくっと肩を震わせた。こういう反応の良さは本物の人間と変わらないな。ほんと今のロボット技術ってすごいもんだ。
「あの、アキトさん。今の音は?」
「ああ、俺のラーメンが出来上がった合図スよ。離れた場所にいても、この機械が知らせてくれる。そういう仕組みなんスよ」
「へえっ……」
感心しているユリアの手を引いて俺はラーメン屋のコーナーに戻り、丼の載ったトレイを受け取り、真ん中にあるテーブル席の開いているとこに座った。ユリアはロボットだから当然食事はしないが、一応俺の向かいの席に座って俺がラーメンをかきこむのを眺めていた。そしてこう言った。
「さすがは科学技術の街ですね。ラーメン屋さんまで、すごくハイテクなんですね」
「ははは。俺としちゃ、もっと街自体をにぎやかにして欲しいんスけどね」
それから俺たちはバスに乗って筑波山に向かった。やがて一面の田んぼと畑が見えてくる。真冬の今は白茶けた切り株や枯れた草があるだけだから余計寒々しい光景だ。市の中心部はそれなりに立派だが、バスでわずか二十分も走ればもうこんな風景になる。ユリアはコートのフードをかぶったまま、こんな風景の何が面白いのか、窓ガラスに顔をくっつけてじっと外を見ていた。やがて俺の方に顔を向けて言った。
ユリアは一瞬びくっと肩を震わせた。こういう反応の良さは本物の人間と変わらないな。ほんと今のロボット技術ってすごいもんだ。
「あの、アキトさん。今の音は?」
「ああ、俺のラーメンが出来上がった合図スよ。離れた場所にいても、この機械が知らせてくれる。そういう仕組みなんスよ」
「へえっ……」
感心しているユリアの手を引いて俺はラーメン屋のコーナーに戻り、丼の載ったトレイを受け取り、真ん中にあるテーブル席の開いているとこに座った。ユリアはロボットだから当然食事はしないが、一応俺の向かいの席に座って俺がラーメンをかきこむのを眺めていた。そしてこう言った。
「さすがは科学技術の街ですね。ラーメン屋さんまで、すごくハイテクなんですね」
「ははは。俺としちゃ、もっと街自体をにぎやかにして欲しいんスけどね」
それから俺たちはバスに乗って筑波山に向かった。やがて一面の田んぼと畑が見えてくる。真冬の今は白茶けた切り株や枯れた草があるだけだから余計寒々しい光景だ。市の中心部はそれなりに立派だが、バスでわずか二十分も走ればもうこんな風景になる。ユリアはコートのフードをかぶったまま、こんな風景の何が面白いのか、窓ガラスに顔をくっつけてじっと外を見ていた。やがて俺の方に顔を向けて言った。