縁隔操作(えんかくそうさ)
俺の住むこの街は、基本的には何もない田舎の地方都市だ。クラスの秀才どもに言わせると、この街の本当のすごさは地面の下にあるんだそうだ。なんでもサイクロトロンだの何だのってすごい装置が地下にたくさんあって、それが世界でもトップクラスなんだそうだが、そんなの俺みたいな落ちこぼれには一生縁はないだろう。
この街は電車の終着駅の周りに、立派なホテルやショッピングビルがほんのいくつかあるだけ。繁華街と呼べる程の場所もない、派手に遊べる盛り場もない、俺みたいな奴にとっちゃ退屈な田舎町だ。まあ、その電車で東京まで一時間ちょいで行けるようになってからは便利にはなったが、俺たち学生がそうしょっちゅう高い電車賃払って東京へ遊びに行けるもんじゃないしな。
受付で十分程待たされてから俺は愛想の悪いおねえさんに連れられてある部屋へ通された。そこには何が面白いのか妙にニコニコしている、髪の毛が七割がた白くなったじいさんがいた。どうやら、この人が担任の言っていた森島教授ってわけか。教授は俺を机の反対側の椅子に座らせて、いきなり本題に入った。
「ええと、斎賀明人君でしたね。実はあなたには、ある実験に協力して欲しいのです」
「はあ?あの、俺は理科の成績は毎回Dなんすけど。あ、もちろん五段階の下から二番目のDッスよ?」
「いやいやいや、そう難しく考えないで。では、まずこちらへ」
この街は電車の終着駅の周りに、立派なホテルやショッピングビルがほんのいくつかあるだけ。繁華街と呼べる程の場所もない、派手に遊べる盛り場もない、俺みたいな奴にとっちゃ退屈な田舎町だ。まあ、その電車で東京まで一時間ちょいで行けるようになってからは便利にはなったが、俺たち学生がそうしょっちゅう高い電車賃払って東京へ遊びに行けるもんじゃないしな。
受付で十分程待たされてから俺は愛想の悪いおねえさんに連れられてある部屋へ通された。そこには何が面白いのか妙にニコニコしている、髪の毛が七割がた白くなったじいさんがいた。どうやら、この人が担任の言っていた森島教授ってわけか。教授は俺を机の反対側の椅子に座らせて、いきなり本題に入った。
「ええと、斎賀明人君でしたね。実はあなたには、ある実験に協力して欲しいのです」
「はあ?あの、俺は理科の成績は毎回Dなんすけど。あ、もちろん五段階の下から二番目のDッスよ?」
「いやいやいや、そう難しく考えないで。では、まずこちらへ」