縁隔操作(えんかくそうさ)
そう言って教授は相変わらずニコニコした表情のままで部屋の奥のドアを開け、俺を招き入れた。俺の目にまず飛び込んで来たのは車椅子だった。その奥には何かわけの分からない複雑な装置が置いてあった。車椅子の座る部分の上には何かラグビーのヘッドギアみたいな物が乗ってて、長いコードで車椅子本体とつながっている。
「これをご存じですか?」と教授。
俺はきょとんとしたまま首を横に振る。教授はホッホッと女みたいな笑い方をしながら、その車椅子に乗りヘッドギアを自分の頭にかぶせる。すると、教授の手がどこにも触れていないのに、車椅子がウィーンというモーター音を立てながらその場でくるくると方向を変えた。それを見て俺はやっと思い出した。
「あっ!脳波で操縦する車椅子ってやつですよね、それ」
「はい、その通り。この脳波遠隔操作システムはね、今から十数年まえにこの街で開発された技術なんです。知ってました?」
「へ?そうなんスか?」
「どれ、今度はあなたがやってみて下さい」
教授は車椅子から降りてヘッドギアをはずし俺を手招きした。
「い、いや、そういうのって、トレーニングが要るんじゃないんスか?」
「まあ、論より証拠で……さあ、ほら」
「これをご存じですか?」と教授。
俺はきょとんとしたまま首を横に振る。教授はホッホッと女みたいな笑い方をしながら、その車椅子に乗りヘッドギアを自分の頭にかぶせる。すると、教授の手がどこにも触れていないのに、車椅子がウィーンというモーター音を立てながらその場でくるくると方向を変えた。それを見て俺はやっと思い出した。
「あっ!脳波で操縦する車椅子ってやつですよね、それ」
「はい、その通り。この脳波遠隔操作システムはね、今から十数年まえにこの街で開発された技術なんです。知ってました?」
「へ?そうなんスか?」
「どれ、今度はあなたがやってみて下さい」
教授は車椅子から降りてヘッドギアをはずし俺を手招きした。
「い、いや、そういうのって、トレーニングが要るんじゃないんスか?」
「まあ、論より証拠で……さあ、ほら」