縁隔操作(えんかくそうさ)
俺は教授にせかされて仕方なく車椅子に座りヘッドギアをかぶり、言われるままに「右、左、前、後ろ」とか心の中で念じた。すると、驚いた事にその電動車椅子は俺の考えた通りにスイスイと動いた。
「うわ!簡単に出来るんスね。俺、こんなのには生まれて初めて乗ったのに」
「ホッホッホッ……開発された当時は相当な訓練をした後でないと操縦できませんでしたが、今では誰でも簡単に脳波で操作できるまでに改良されました。ところで斎賀君、その後、大阪の大学でこれと同じシステムでロボットを動かそうという研究が始まったのをご存じですか?」
「あ、いや。それはご存じないッス」
どうでもいいけど俺みたいな中学生のガキ相手に馬鹿丁寧な言葉遣いする人だな。俺もしゃべり方が変になってきた。
「車椅子でしか動けない、あるいはベッドに寝たきりで動けない、そういう身体障害者がそういうロボットを脳波で操縦して自分の体の代わりにいろんな事をさせる。実は今この理科学研究所ではその実証実験を始めるところなのです、はい」
「はあ、それはすごいッスね。けど、俺は見ての通り体だけは人一倍丈夫ですし、それに俺みたいな落ちこぼれが何の役に立つんです?」
「はい、あなたには被験者が操縦するロボットと一緒に街を歩いてあげて欲しいのです。今回の被験者は、名前などの詳しい事はあなたには教えられないのですが、まあ、同じ年頃の女の子だとだけ言っておきましょう」
「いや、それだったら、同じ女子の方がよくないスか?」
「あなたの役目はロボットの護衛も兼ねているのですよ。世の中にはそういう珍しい物をいたずらしたがる困った人もいますからね。それに高価な機械ですから盗まれないとも限らない。その点あなたは大変お強いそうですね。そう聞いてますよ」
「うわ!簡単に出来るんスね。俺、こんなのには生まれて初めて乗ったのに」
「ホッホッホッ……開発された当時は相当な訓練をした後でないと操縦できませんでしたが、今では誰でも簡単に脳波で操作できるまでに改良されました。ところで斎賀君、その後、大阪の大学でこれと同じシステムでロボットを動かそうという研究が始まったのをご存じですか?」
「あ、いや。それはご存じないッス」
どうでもいいけど俺みたいな中学生のガキ相手に馬鹿丁寧な言葉遣いする人だな。俺もしゃべり方が変になってきた。
「車椅子でしか動けない、あるいはベッドに寝たきりで動けない、そういう身体障害者がそういうロボットを脳波で操縦して自分の体の代わりにいろんな事をさせる。実は今この理科学研究所ではその実証実験を始めるところなのです、はい」
「はあ、それはすごいッスね。けど、俺は見ての通り体だけは人一倍丈夫ですし、それに俺みたいな落ちこぼれが何の役に立つんです?」
「はい、あなたには被験者が操縦するロボットと一緒に街を歩いてあげて欲しいのです。今回の被験者は、名前などの詳しい事はあなたには教えられないのですが、まあ、同じ年頃の女の子だとだけ言っておきましょう」
「いや、それだったら、同じ女子の方がよくないスか?」
「あなたの役目はロボットの護衛も兼ねているのですよ。世の中にはそういう珍しい物をいたずらしたがる困った人もいますからね。それに高価な機械ですから盗まれないとも限らない。その点あなたは大変お強いそうですね。そう聞いてますよ」