縁隔操作(えんかくそうさ)
チクショウ、担任の先生、余計な事をこの教授に教えたな。俺が頭をかいていると、森島教授は部屋を仕切っていたカーテンをさっと開いた。そこには真っ白なマネキンみたいな等身大の人形と、さっきのとは別の車椅子があった。
「まず、その車椅子に座ってそれを頭にかぶって下さい」
もうこうなりゃヤケだ。俺は言われるままにそれに座り、今度はバイクのヘルメットみたいな装置をかぶらされた。両目にはコードが何本もつながった大きな眼鏡というかゴーグルというか、そういう物をつけた。
教授が車椅子の横で何かスイッチを入れたようだ。何回かカチッ、カチッという音がした。そして俺の視界全体に映像が浮かび上がった。それは頭がクラクラするような妙な感じの映像だった。今いる部屋の光景だという事は分かった。しかし、何十年も前にゲームの画面に使われていた、ええと何だっけ?……そう、ポリゴンとか言うカクンカクンな感じの「立体っぽく見える二次元映像」みたいだ。
俺の視界の中で教授らしき人影がもう一つのまっすぐ立っている人影を抱え、よいこらしょと右へ左へとその向きを変える。すると俺の視界もその動きに合わせてグルリと水平に回転した。
「あの、先生、もしかして俺の今の視界って、その人形の……」
「はい。このロボットの目に仕込んであるカメラを通して、あなたは今このロボットを通して物を見ている。そういう事なのです。はい、もうはずしていいですよ」
「まず、その車椅子に座ってそれを頭にかぶって下さい」
もうこうなりゃヤケだ。俺は言われるままにそれに座り、今度はバイクのヘルメットみたいな装置をかぶらされた。両目にはコードが何本もつながった大きな眼鏡というかゴーグルというか、そういう物をつけた。
教授が車椅子の横で何かスイッチを入れたようだ。何回かカチッ、カチッという音がした。そして俺の視界全体に映像が浮かび上がった。それは頭がクラクラするような妙な感じの映像だった。今いる部屋の光景だという事は分かった。しかし、何十年も前にゲームの画面に使われていた、ええと何だっけ?……そう、ポリゴンとか言うカクンカクンな感じの「立体っぽく見える二次元映像」みたいだ。
俺の視界の中で教授らしき人影がもう一つのまっすぐ立っている人影を抱え、よいこらしょと右へ左へとその向きを変える。すると俺の視界もその動きに合わせてグルリと水平に回転した。
「あの、先生、もしかして俺の今の視界って、その人形の……」
「はい。このロボットの目に仕込んであるカメラを通して、あなたは今このロボットを通して物を見ている。そういう事なのです。はい、もうはずしていいですよ」