白頭山の残光
またソナが口をはさんだ。
「でも彼女を置いてきて、なおさらいいの?お父さんがそばにいないのなら」
だが、ソンジョンの答はさらに意外なものだった。
「労働教化所ではなく、政治犯収容所と言っただろう。政治犯収容所へは本人だけでなく、本人から見て三代の家族が全員送られる。彼女の父親が罪を犯したから、その妻、まだ存命だった彼女の祖母、そして一人娘だった彼女自身も政治犯収容所へ送られた」
そんな馬鹿な……もう美里は声を出す事も出来なかった。それは日本では江戸時代に行われていた連座制そっくりではないか?ソナがおそるおそるという感じでソンジョンに尋ねる。
「これは国家機密だろうから、答えたくないならいいけど。韓国も政治犯収容所の噂は聞いて、アメリカの軍事偵察衛星でその場所を突き止めようとした事がある。でも北韓のどこを探してもそれらしい施設は見つからなかった」
「ソナ、君が考えているのは、高い塀に囲まれた鉄格子のある巨大な建物じゃないか?」
「もちろん、そうよ」
「だったらアメリカの軍事衛星でも見つかるはずはない。政治犯収容所は、高圧電流の流れる鉄条網で囲まれた大きな村のような場所だ。家畜小屋みたいな住居が散らばっていて、工場や農場がある。君が考えているような巨大な建物なんかない。だからそんな物をいくら探しても無駄だ」
「でも彼女を置いてきて、なおさらいいの?お父さんがそばにいないのなら」
だが、ソンジョンの答はさらに意外なものだった。
「労働教化所ではなく、政治犯収容所と言っただろう。政治犯収容所へは本人だけでなく、本人から見て三代の家族が全員送られる。彼女の父親が罪を犯したから、その妻、まだ存命だった彼女の祖母、そして一人娘だった彼女自身も政治犯収容所へ送られた」
そんな馬鹿な……もう美里は声を出す事も出来なかった。それは日本では江戸時代に行われていた連座制そっくりではないか?ソナがおそるおそるという感じでソンジョンに尋ねる。
「これは国家機密だろうから、答えたくないならいいけど。韓国も政治犯収容所の噂は聞いて、アメリカの軍事偵察衛星でその場所を突き止めようとした事がある。でも北韓のどこを探してもそれらしい施設は見つからなかった」
「ソナ、君が考えているのは、高い塀に囲まれた鉄格子のある巨大な建物じゃないか?」
「もちろん、そうよ」
「だったらアメリカの軍事衛星でも見つかるはずはない。政治犯収容所は、高圧電流の流れる鉄条網で囲まれた大きな村のような場所だ。家畜小屋みたいな住居が散らばっていて、工場や農場がある。君が考えているような巨大な建物なんかない。だからそんな物をいくら探しても無駄だ」