白頭山の残光
「政治犯収容所では必死に働いて質のいい物を生産しないと、文字通り生きていけない。ただでさえ栄養不足で、カエルや蛇や虫を食ってやっと生きている。トウモロコシを減らされたり、もらえなくなったら文字通り死ぬしかない。逆に中国で高く売れる質のいい製品を作れば、食料を多くもらえるようになる。命がかかっているから政治犯収容所ではみんな必死で働く。だから質のいい物が生産出来る。中国人は、たとえ朝鮮族でも、そんな所で作られた物とは知らないから、品質が良ければ喜んで高く買ってくれる。だが、その金は一般人民のためには1ウォンも使われない。平壌の一角には外国人に見せるための、東京やソウルにも負けない遊び場がある。ほんの一握りの党や軍のエリートとその家族だけが入れる場所だ。その一握りの特権階級のぜいたくに、無駄遣いされるだけだ」
「それで……」
ソナが疑問を口にした。
「彼女のお父さんが運転していたバスに衝突したトラックの軍人はどうなったの?そっちは労働教化所行きで済んだわけ?」
「そういう場合、軍人が罪に問われる事はない。たとえ100%軍人の方に落ち度があったとしても、だ。先軍政治と言うんだ。金日成主席の時代にも多少はそういう傾向はあったが、金正日将軍の代になってから、極端にその傾向がひどくなったそうだ」
次に美里が別の疑問を口にした。
「それで彼女の刑期はどれぐらいなの?何年ぐらいでその収容所から出て来れそう?」
「政治犯収容所に期限などない。一度入ったら一生その中だ。実際、収容所の中で生まれてそのままそこで育った二世が既にたくさんいるらしい」
「それって終身刑じゃない!しかも子孫まで収容所で生涯を送るわけ?」
「それで……」
ソナが疑問を口にした。
「彼女のお父さんが運転していたバスに衝突したトラックの軍人はどうなったの?そっちは労働教化所行きで済んだわけ?」
「そういう場合、軍人が罪に問われる事はない。たとえ100%軍人の方に落ち度があったとしても、だ。先軍政治と言うんだ。金日成主席の時代にも多少はそういう傾向はあったが、金正日将軍の代になってから、極端にその傾向がひどくなったそうだ」
次に美里が別の疑問を口にした。
「それで彼女の刑期はどれぐらいなの?何年ぐらいでその収容所から出て来れそう?」
「政治犯収容所に期限などない。一度入ったら一生その中だ。実際、収容所の中で生まれてそのままそこで育った二世が既にたくさんいるらしい」
「それって終身刑じゃない!しかも子孫まで収容所で生涯を送るわけ?」