お隣サンは元彼クン
ピンポーン
柊二の足音がする
ガチャ…ゆっくりドアが開くと、柊二が絵筆を持ったまま立っていた。

『おう、どした?おっ拓、元気になったみたいだな』
また拓は柊二に手をふっている。
『ホントに、この前はありがとう。マジあたし、てんぱってたし柊二が、いてくれて助かった。迷惑かけてごめん』
私は頭を下げた。
『拓が元気になったんだからいいじゃん。よかったな』
そう言って柊二は笑ってくれた。
『あっこれね、そのお礼の菓子折り…旦那がね、ちゃんと、お礼持ってっとけって…』
『菓子折りねぇそりゃまた、ご丁寧にどうも。…お前さぁ旦那に俺の事なんて言ってんの?この前中学の同級生らしいですねーって言われて、ちとビックリした』
『ただの中学の同級生。クラスも一緒になった事ないから、あんまし覚えてなかった…って言った。』
『あーね。まぁまんざら嘘でもねぇな。確かに中学の時は3年間クラス違ったもんな』
『ホントの事なんて言えるわけないじゃん…じゃあそゆことで…』
後ろむいて帰ろうとした時、
『南、今日何の日か覚えてる?』
柊二の問い掛けに
『バナナケーキの日』
と答えた。そして振り向いて
『ハッピバースデー』
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