お隣サンは元彼クン
『果歩、あたし2次会行くわよ』
『あんたはダメよ!』
『なんでよ!散々、幹事の仕事手伝わされてさ、あたし全然酔えなかったんですけど』
『あんたは今から二人きりの同窓会をしに行くのよ!前田柊二に酔っときなさい…あっでも、酔ってないかもしれないけど酔ったふりして!早く!』
そう言って果歩は、あたしの手をひっぱりどこかに連れていく。
どこ行くんだよ…
と思ったらタクシー乗り場のそばで…柊二が立っていた。
『あーごめん、前田くん、南ったら、けっこう酔っぱらっててさ南から聞いたんだけど今、一緒のアパートに住んでんでしょ。ごめんけど一緒にタクシーで連れて帰ってやってくんない?ゴメンね!』
果歩は、そう言うと私をタクシーの中に無理矢理押しやり私にむかって、ウインクをした。
あんにゃろめ…
柊二も果歩に押され乗り込んできた。
『じゃあ運転手さん、お願いしまーす』
と果歩は元気に言い両手をふって私たちを見送った。

沈黙のタクシー車内。何か言わなきゃ。
『あたし酔ってないから』柊二は私の顔を見て、
『んな事、最初からわかってたよ。ハメられたんだろ俺達、山野に』
私はうなづいた。
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