お隣サンは元彼クン
なんだか二人しか知らない思い出を二人で話せる日がくるなんて、思ってなかったから、すごくうれしくて…
『この約束守れたな』
『そっかぁちょうど10年だもんね』

柊二との日々は昨日の事のように思いだせる…

ヤバっなんか泣きそ。

横を向くと、吐息が聞こえそうなくらいの隣に柊二の顔があった。
『お前泣いてんの?』
あたしは、あせって首を横に振った。
柊二は両手の親指で、あたしの涙をふいてくれた。そして、そのまま両手が、頬におかれた。
キスされる…と思った私は目をつぶった。

ゴツンっ
痛っ!頭突き?
目を開けたら柊二は両手で、あたしのほっぺを、つねって、フニフニした。
拍子ぬけした私に柊二は
『そんな顔してっとチュウすっぞ』
と言った。少し間をおいて
『帰るか』
と柊二は私に背中をむけた。
その大きな背中が、すごく切なくて、気がついたら後ろから抱きついていた。


柊二は柊二の、おなかのトコにある私の手を力強く握った。
どれくらいそうしてただろう…
柊二が沈黙をやぶった。
『今、お前のほう向いたら、俺お前の事、めちゃめちゃにしてしまいそうだから』
柊二の言葉に私は手を離した。
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