妹神(をなりがみ)
やがてはっきり顔が見える距離まで近づいて、俺はやっと思い当った。俺たちの年頃で二、三年も経てば顔立ちや雰囲気もずいぶん変わるが、それでも面影は残るもんだ。
「おい、君、ひょっとしてサトルか?上田悟か?」
俺はその他校生に声をかけてみた。そいつは一瞬びくっと震えあがったような仕草をしたが、俺の姿を見てほっとした表情を見せ、俺のそばに駆け寄って来た。
「雄二か?おまえ、遠野だよな?」
「おお、やっぱり悟か!いやあ、懐かしいな。二年半ぶりぐらいか?」
「よ、よかった……おまえは無事なんだな?」
「はあ?何の事だ、やぶから棒に。それに突然俺の学校へ訪ねて来るなんて、どうしたんだ?」
「俺は雄二の今の住所知らないから……この中学に入った事はいつか電話で聞いてたから……」
横から絹子が遠慮がちに話に割って入る。
「雄二、知り合いなの?」
「ああ、悪い。こいつは上田悟。俺の小6の時のクラスメートだ」
「雄二!」
突然悟が切羽詰まった口調で言う。俺はあっけにとられてしまった。悟はポケットから折りたたんだ紙を取り出して俺の手に押しつけながら言った。
「今夜7時、ここに来てくれ。隆平も呼ぶつもりだ」
「隆平って……山崎のことか?」
俺は紙を広げて見る。インターネットからプリントアウトした地図があった。この辺から電車で駅五つ先の街の河原に赤ペンで印がつけてある。つまりその場所へ来いってことなんだろうが。
「ちょ、ちょっと待て。一体何の話だ?それに、おまえ、なんか様子が変だぞ」
「おい、君、ひょっとしてサトルか?上田悟か?」
俺はその他校生に声をかけてみた。そいつは一瞬びくっと震えあがったような仕草をしたが、俺の姿を見てほっとした表情を見せ、俺のそばに駆け寄って来た。
「雄二か?おまえ、遠野だよな?」
「おお、やっぱり悟か!いやあ、懐かしいな。二年半ぶりぐらいか?」
「よ、よかった……おまえは無事なんだな?」
「はあ?何の事だ、やぶから棒に。それに突然俺の学校へ訪ねて来るなんて、どうしたんだ?」
「俺は雄二の今の住所知らないから……この中学に入った事はいつか電話で聞いてたから……」
横から絹子が遠慮がちに話に割って入る。
「雄二、知り合いなの?」
「ああ、悪い。こいつは上田悟。俺の小6の時のクラスメートだ」
「雄二!」
突然悟が切羽詰まった口調で言う。俺はあっけにとられてしまった。悟はポケットから折りたたんだ紙を取り出して俺の手に押しつけながら言った。
「今夜7時、ここに来てくれ。隆平も呼ぶつもりだ」
「隆平って……山崎のことか?」
俺は紙を広げて見る。インターネットからプリントアウトした地図があった。この辺から電車で駅五つ先の街の河原に赤ペンで印がつけてある。つまりその場所へ来いってことなんだろうが。
「ちょ、ちょっと待て。一体何の話だ?それに、おまえ、なんか様子が変だぞ」