妹神(をなりがみ)
海岸を歩いていると小夜子ちゃんが「あっ、あれ!」と叫んで海辺へ走り寄って行った。美紅もすぐに追いかける。俺も何だろうと思いながら後に続く。小夜子ちゃんがサンダルのまま砂浜の海水に足を踏み入れ、そうっと右手を伸ばして何かをひょいとつまみ上げた。
それを見た瞬間、俺は猛ダッシュで海辺から百メートルは離れた場所へすっ飛んで行った。それは明らかに海蛇だったからだ。俺の様子を見た小夜子ちゃんが感嘆の声を上げる。
「美紅のお兄さん、足速―い!陸上でもやってるの?」
いや単に俺は蛇が死ぬほど嫌いなだけだ。昔から蛇を見たら誰より速くすっ飛んで逃げていた。確かに蛇を見た時の逃げ足の速さを意識的に出せればオリンピックにだって出られるかもな、俺って。
「そ、それはひょっとして……」
俺は平気で海蛇をつまみ上げている小夜子ちゃんとそれを当然という顔で見ている美紅におっかなびっくり声をかける。
「うん、これがイラブー。でもこれはちっちゃいからまだ子供だね」と小夜子ちゃん。な、なに!あれで小さいのか?
美紅も小夜子ちゃんに同意する。
「うん、そうだね。これは逃がしてあげたら?」
小夜子ちゃんはその海蛇を海に戻しながらこう声をかけた。
「もっと大きくなってまた戻っておいで」
待てよ。海蛇って毒があったんじゃないか?その点を尋ねると小夜子ちゃんは事もなげにこう答えた。
「うん、あるよ。イラブーの毒はハブの何十倍だっけ?」
「き、君!だったら危ないじゃないか、あんな事しちゃ」
「うん、島人じゃない人は触らない方がいいよ。イラブーはおとなしいからあっちから襲って来たりはしないけど、触ると咬みつく事があるからね」
い、いや、だから君たちはいいわけ?お、沖縄の女の子、あなどれん!
それを見た瞬間、俺は猛ダッシュで海辺から百メートルは離れた場所へすっ飛んで行った。それは明らかに海蛇だったからだ。俺の様子を見た小夜子ちゃんが感嘆の声を上げる。
「美紅のお兄さん、足速―い!陸上でもやってるの?」
いや単に俺は蛇が死ぬほど嫌いなだけだ。昔から蛇を見たら誰より速くすっ飛んで逃げていた。確かに蛇を見た時の逃げ足の速さを意識的に出せればオリンピックにだって出られるかもな、俺って。
「そ、それはひょっとして……」
俺は平気で海蛇をつまみ上げている小夜子ちゃんとそれを当然という顔で見ている美紅におっかなびっくり声をかける。
「うん、これがイラブー。でもこれはちっちゃいからまだ子供だね」と小夜子ちゃん。な、なに!あれで小さいのか?
美紅も小夜子ちゃんに同意する。
「うん、そうだね。これは逃がしてあげたら?」
小夜子ちゃんはその海蛇を海に戻しながらこう声をかけた。
「もっと大きくなってまた戻っておいで」
待てよ。海蛇って毒があったんじゃないか?その点を尋ねると小夜子ちゃんは事もなげにこう答えた。
「うん、あるよ。イラブーの毒はハブの何十倍だっけ?」
「き、君!だったら危ないじゃないか、あんな事しちゃ」
「うん、島人じゃない人は触らない方がいいよ。イラブーはおとなしいからあっちから襲って来たりはしないけど、触ると咬みつく事があるからね」
い、いや、だから君たちはいいわけ?お、沖縄の女の子、あなどれん!