妹神(をなりがみ)
それから一時間ほど歩くとやけに大きな、でも古ぼけた家があちこちに点在しているのが見えて来た。小夜子ちゃんが言うには島の古い家系の住居で今は空き家になっている所も多いそうだ。
何もない島だが、こうして見ると何か歴史の積み重ねの重みみたいな物を感じるな。ふと腕時計を見るともう三時間ほど過ぎている。日も傾き始めているしそろそろ戻った方がいいんじゃないか?
「なあ、美紅、小夜子ちゃん。そろそろ戻らなくていいのか?」
美紅は相変わらず少しボケっとした表情で答える。
「うん、だから戻ってる」
ああ、もう、この天然ボケ!お婆ちゃんの家を出てからずっと前にしか進んでないだろうが。小夜子ちゃんの方に助けを求めて目を向けるが彼女は彼女でいたずらっぽく笑っている。何がおかしいんだ、この子は?
そのうちまた民家が集まっている場所が前の方に見えてきた。よし、あそこからバスにでも乗ればお婆ちゃんの家のあたりまで戻れるか。いや、でもバス停とか一度も見かけなかったな。ひょっとしてバスなんて走ってない?
それにしても沖縄の家屋というのは初めて見る人間にはどれも似たように見えるもんだ。あれなんかお婆ちゃんの家にそっくりだな。あ、縁側に女の人がいる。あの人に訊いてみるか、どっちへ行けば元の場所に戻れるかを。あれ、なんかうちの母ちゃんに似た人だな。
そんな事を思いながらその家に近づいて俺は「へっ?」と間抜けな声を上げてしまった。いや似てるんじゃない。俺の母ちゃんその人じゃないか!なんで母ちゃんが先回りしてここにいるんだ?いや、そうでもない。これはまさしくお婆ちゃんの家!じゃあ何か?俺たちは歩きで島を一周してきたわけ?
何もない島だが、こうして見ると何か歴史の積み重ねの重みみたいな物を感じるな。ふと腕時計を見るともう三時間ほど過ぎている。日も傾き始めているしそろそろ戻った方がいいんじゃないか?
「なあ、美紅、小夜子ちゃん。そろそろ戻らなくていいのか?」
美紅は相変わらず少しボケっとした表情で答える。
「うん、だから戻ってる」
ああ、もう、この天然ボケ!お婆ちゃんの家を出てからずっと前にしか進んでないだろうが。小夜子ちゃんの方に助けを求めて目を向けるが彼女は彼女でいたずらっぽく笑っている。何がおかしいんだ、この子は?
そのうちまた民家が集まっている場所が前の方に見えてきた。よし、あそこからバスにでも乗ればお婆ちゃんの家のあたりまで戻れるか。いや、でもバス停とか一度も見かけなかったな。ひょっとしてバスなんて走ってない?
それにしても沖縄の家屋というのは初めて見る人間にはどれも似たように見えるもんだ。あれなんかお婆ちゃんの家にそっくりだな。あ、縁側に女の人がいる。あの人に訊いてみるか、どっちへ行けば元の場所に戻れるかを。あれ、なんかうちの母ちゃんに似た人だな。
そんな事を思いながらその家に近づいて俺は「へっ?」と間抜けな声を上げてしまった。いや似てるんじゃない。俺の母ちゃんその人じゃないか!なんで母ちゃんが先回りしてここにいるんだ?いや、そうでもない。これはまさしくお婆ちゃんの家!じゃあ何か?俺たちは歩きで島を一周してきたわけ?