妹神(をなりがみ)
ここで小夜子ちゃんが口をはさんだ。
「おばさんも大西風のオバアも誰にも言ってないし、あたしは美紅から電話で聞いたけど誰にも言ってないよ。でも島の外から誰か来ればあっと言う間に島中に広まるよ。なんたって小さな島だからさ。最近は本島の方がにぎやかになったから、この島まで来る観光客なんて減る一方だしね。マレビトが来たなんて言ったら毎回大騒ぎよ」
「マレビト?」
これには母ちゃんが答える。
「代々の島の住人がシマビト。島の外からの来訪者がマレビト。そんな意味ね」
さてそれからは小夜子ちゃんが言った通り大騒ぎだった。近所の人たちが持ち寄ってくれたいろんな沖縄料理を縁側に並べ、大人はビールや泡盛とか言う沖縄の酒を飲みながらワイワイガヤガヤ。
もちろん俺と美紅と小夜子ちゃんは未成年だからサイダーみたいな物を飲んでいた。そのうちおじいさんたちの一人が三味線みたいな形の沖縄の楽器を取り出して、なにやら陽気な音をかなで始めた。ああ、これは俺も見たことはある。サンシンという沖縄の伝統楽器だ。縁側に並んで座っていた美紅が小夜子ちゃんと顔を見合わせて言う。
「あは!カチャーシーだね」
「もう、人が集まるとこればっか!ほんと年寄りのやる事ってワンパターンなんだから」
でもそういう小夜子ちゃんも顔がゆるんでいる。今度はカチャーシー?何だ、それは?
その疑問はすぐに氷解した。サンシンの音色に合わせておじいさんとおばあさんが一人ずつ庭の真ん中に進み出て踊り始めたからだ。なるほど、この踊りの事か。なんかユニークな動きの踊りだな、よし、ゆっくり見物させてもらおう……なんて事を考えていたら、おじいさんたちの一人が美紅と小夜子ちゃんに向かってこう言った。
「ほれ、美紅に小夜子。そこのニーニに教えてやらんかい!」
「おばさんも大西風のオバアも誰にも言ってないし、あたしは美紅から電話で聞いたけど誰にも言ってないよ。でも島の外から誰か来ればあっと言う間に島中に広まるよ。なんたって小さな島だからさ。最近は本島の方がにぎやかになったから、この島まで来る観光客なんて減る一方だしね。マレビトが来たなんて言ったら毎回大騒ぎよ」
「マレビト?」
これには母ちゃんが答える。
「代々の島の住人がシマビト。島の外からの来訪者がマレビト。そんな意味ね」
さてそれからは小夜子ちゃんが言った通り大騒ぎだった。近所の人たちが持ち寄ってくれたいろんな沖縄料理を縁側に並べ、大人はビールや泡盛とか言う沖縄の酒を飲みながらワイワイガヤガヤ。
もちろん俺と美紅と小夜子ちゃんは未成年だからサイダーみたいな物を飲んでいた。そのうちおじいさんたちの一人が三味線みたいな形の沖縄の楽器を取り出して、なにやら陽気な音をかなで始めた。ああ、これは俺も見たことはある。サンシンという沖縄の伝統楽器だ。縁側に並んで座っていた美紅が小夜子ちゃんと顔を見合わせて言う。
「あは!カチャーシーだね」
「もう、人が集まるとこればっか!ほんと年寄りのやる事ってワンパターンなんだから」
でもそういう小夜子ちゃんも顔がゆるんでいる。今度はカチャーシー?何だ、それは?
その疑問はすぐに氷解した。サンシンの音色に合わせておじいさんとおばあさんが一人ずつ庭の真ん中に進み出て踊り始めたからだ。なるほど、この踊りの事か。なんかユニークな動きの踊りだな、よし、ゆっくり見物させてもらおう……なんて事を考えていたら、おじいさんたちの一人が美紅と小夜子ちゃんに向かってこう言った。
「ほれ、美紅に小夜子。そこのニーニに教えてやらんかい!」