妹神(をなりがみ)
え?まさか俺の事?考えるひまもなく縁側から飛び降りた美紅と小夜子ちゃんに両腕をつかまれて俺は庭の中央に引きずり出されてしまった。
「いや、ちょっと待った。俺は踊りなんて運動会のフォークダンスぐらいしか。それに沖縄の踊りなんて生まれて初めてで……」
そんな俺の狼狽には取り合おうともせず小夜子ちゃんがまたあのいたずらっぽい笑いを浮かべながら俺に言う。
「大丈夫、大丈夫。カチャーシーには決まった踊り方なんてないから簡単だよ。いい?あたしの手の動きを見てそれを真似してみて」
小夜子ちゃんの両手は開いて少しそろえた指を内側に向けた感じで、頭の横あたりをひらひらと蝶のように小刻みに動いている。ええい、こうなりゃヤケだ。俺は見よう見まねで小夜子ちゃんの手の動きを真似してみる。すると体の方も勝手に動き始めた。が、どうにもぎくしゃくした動きなのが自分でも分かる。
「ちょっと、雄二!それじゃ阿波踊りよ!」
縁側で缶ビールを片手に母ちゃんがからかう。周りの島の人たちがドッと笑う。今度は美紅が踊りながら俺にアドバイスする。
「ニーニ。足のつま先を内側に向けて。こんな風に」
俺は美紅の足元を見ながら必死でそれに合わせてみた。すると周りのおじいさんの一人が大声でこう言った。
「おお、サマになってきたでないか。ヤマトンチューが初めてにしちゃ上出来サー」
「何を言っとる。美紀子さんの息子なら半分はウチナンチューじゃろ」
「よっ!ヤマトのにいちゃん!両手に花じゃねえか!」
「ああ、わしもあと四十年若けりゃのう!」
「こりゃ負けちゃおれん。わしらも踊るぞ」
「いや、ちょっと待った。俺は踊りなんて運動会のフォークダンスぐらいしか。それに沖縄の踊りなんて生まれて初めてで……」
そんな俺の狼狽には取り合おうともせず小夜子ちゃんがまたあのいたずらっぽい笑いを浮かべながら俺に言う。
「大丈夫、大丈夫。カチャーシーには決まった踊り方なんてないから簡単だよ。いい?あたしの手の動きを見てそれを真似してみて」
小夜子ちゃんの両手は開いて少しそろえた指を内側に向けた感じで、頭の横あたりをひらひらと蝶のように小刻みに動いている。ええい、こうなりゃヤケだ。俺は見よう見まねで小夜子ちゃんの手の動きを真似してみる。すると体の方も勝手に動き始めた。が、どうにもぎくしゃくした動きなのが自分でも分かる。
「ちょっと、雄二!それじゃ阿波踊りよ!」
縁側で缶ビールを片手に母ちゃんがからかう。周りの島の人たちがドッと笑う。今度は美紅が踊りながら俺にアドバイスする。
「ニーニ。足のつま先を内側に向けて。こんな風に」
俺は美紅の足元を見ながら必死でそれに合わせてみた。すると周りのおじいさんの一人が大声でこう言った。
「おお、サマになってきたでないか。ヤマトンチューが初めてにしちゃ上出来サー」
「何を言っとる。美紀子さんの息子なら半分はウチナンチューじゃろ」
「よっ!ヤマトのにいちゃん!両手に花じゃねえか!」
「ああ、わしもあと四十年若けりゃのう!」
「こりゃ負けちゃおれん。わしらも踊るぞ」