ありえない彼氏
「…翔太?」

私が呼びかけても翔太は何も言わず、ぶすっとした表情のまま。

「……しょーた。」

ツンツンと翔太のセーターを引っ張るとちらっと私の方を向く。

私はその隙にぱっと背伸びをし、一瞬だけキスをした。

「……!!」

「帰ろ?翔太。」

私は何事もなかったように歩き出す。
でも翔太はその場に固まったままで。


「……由香、今のもう一回!!」

「やーだよーっ。」


後ろで叫ぶ翔太を見ずに私はスタスタと歩いて行く。

……今絶対に顔赤い……。


こんな普通の道路で自分のしたことが恥ずかしくなり、いつもより早歩きになる。





< 107 / 199 >

この作品をシェア

pagetop