ありえない彼氏
「え、えと……っ、どこ、行くの…?」


色々考えた挙句、出たのはしょうもない質問。

(あぁっ!こんなことが言いたいんじゃないのに!)


そんなことを思いながらも翔太の手は離さずに握りしめる。


「義明たちの声が聞こえたから玄関の鍵開けようと思っただけだけど……どうしたの?」


耳をすませば、確かに外から段々近づいてくる義明くんと佳織の声が聞こえる。

……どれだけでっかい声でしゃべってるんだろう…。


(…ってそんなことじゃなくて!)


翔太は私が他に言いたいことがあるのが分かったのか、まだ私に目線を合わせたまま見つめていた。



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