ありえない彼氏
お母さんは「よかったわね」と笑って言うと、アイスコーヒーを運んでいった。

「次は…オレンジジュースとメロンソーダか。」

弾む気持ちで注文されたものを作っていると、突然ポケットの中のケータイが震えた。

「…誰だろ?」

ディスプレイを見ると、そこには翔太の名前が表示されていて。

「なんで…」

時計を見ると、まだ10時過ぎ。部活の時間帯だ。


私は隣で料理を作るお父さんに一言声をかけてから、二階に移動して電話にでた。


「…もしもし翔太?どうしたの?」

『ごめん由香…。今日ちょっと出かけられない…。』


電話から聞こえてくる声は苦しそうで、時折荒い呼吸が聞こえる。
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