ありえない彼氏
「……これで最後っと。」

最後の食器を洗い終えて台所をきれいに片付けると、リビングのドアが開き、翔太が入ってきた。

「……由香…?」

「あ、翔太。」


ぽやーっとしながらゆっくり近づいてくると、優しく抱きしめられる。


「翔太、もう具合よくなったの?」

「…………由香が…」


優しく頭を撫でながら聞くと、小さな声で呟く翔太。


「由香がいないから……帰っちゃったのかと思った……。」


そう言ってきゅーっと私を抱きしめると、首元に顔をうずめた。


「……由香、甘い匂いする……。」

すんすんと匂いをかぐのがくすぐったい。


「さっきね、プリン作ってたの。」


私がそう答えると、ぱっと顔をあげてきらきらした瞳で見つめられる。

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