ありえない彼氏
「……ねぇ翔太。」

「………。」

何も言わない翔太を無視して話し続ける。

「私、今までデートのこと忘れてた。」

「………え?」


翔太が驚いたような、ショックを受けたような、なんとも微妙な声をあげる。

「朝は楽しみで仕方なかったんだけど、電話で体調悪いこと分かって、デートが無理ってなっても残念じゃなかった。」


朝に電話がかかってきて、出かけるの無理って言われても、ショックな気持ちはなくて。


「ただ翔太が心配になっただけで、むかつく、とかそんなのはなかった。」


少しだけ翔太の抱きしめる腕に力が入る。

私は頭を撫でながらくすっと笑った。

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