俺の彼女はインベーダー
 それには構わず、その女性自衛官は部屋の奥のパソコンのそばの椅子に座り、俺たちにも適当に座るように言った。
「では、もう一度自己紹介するわね。私は桂木律子。出身は陸上自衛隊だけど、今は統合幕僚監部直属特殊作戦本部付き。まあ分かりやすく言えば、防衛大臣直轄の秘密部隊のメンバーってとこね。ちなみに年齢は、永遠の25歳よん」
 な、なんか、さっきとえらく雰囲気と態度が違ってないか?ここで麻耶が容赦ないツッコミを入れた。
「つまり三十路間近なんですね?」
「ええん。そ、そこをつっこまなくてもう……」
 と、桂木二尉はべそをかいたような表情で言った。なんか調子狂うな。俺もさっきまでの緊張感が滝のように体中から抜けていくような気がする。桂木二尉は気を取り直してパソコンと馬鹿でかいテレビのスイッチをいくつか操作した。テレビのスクリーンに何かの映像が出て来る。
「まあ、まずはこれを見てくれる~?そしたら、なぜ君たちを連れて来たのか想像がつくと思うわよ」
 そこに映し出されている映像は妙にぼやけていた。色の感じもおかしい。あれ?あの後ろの隅に映っているのは……地球!?じゃあ、これは宇宙空間の映像なのか?
 そしてすぐに、そのカメラの視界に青い光輝く球体が現れた。それはあり得ないスピードで前後左右にジグザグに動き回ったかと思うと、あっという間に地球に向かって飛び去った。わずか三十秒足らずの映像だったが、俺にはピント来た。麻耶はなおさらそうだったろう。一人、ラミエルだけがきょとんとしてポカンと口を開けていた。ラミエルは記憶を消されているからあれが何だったのか分かるはずもない。
 だが、間違いない。色こそ違うが、あれはラミエルが地球に乗って来たUFOと同じ物だ。呆然として彼女の方に顔を向けた俺に、桂木二尉がわざとらしい微笑を浮かべて伝えた。
「今から二週間前に、アメリカの軍事偵察衛星が北半球上空で偶然撮影した物よ。現代の地球の科学力ではあり得ない物体。もうお分かりかでしょ?」
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