俺の彼女はインベーダー
 俺たち三人が駆け寄って体を揺するとラミエルはすぐに目を覚ました。よかった、どうやら別に何かされたわけではないようだ。だが、変だな。あれだけの大騒ぎを起こしてラミエルを連れ去っておいてこんな簡単に発見出来る場所に放っておくとは、どういう狙いがあったんだ?
「あら、お早いお着きですこと」
 いきなり俺たちの近くから声がした。その方向に視線を向けると、池の上に渡してある石の橋の上にその人物が立っていた。いつの間に?ついさっきまで気配さえ感じなかったのに。
 鈴が鳴るように澄んだ、どことなく気品を感じさせる、若い女の声。すらっとした体つきでやけに背が高い。俺と張り合える身長だ。いや、しかしまだ少女と言ってもいい年頃に見える。
 姿形は一見日本人と変わらないように見える。ラミエルと同じだ。だが、その腰まで届くストレートロングの髪は、ラミエルより色が濃いが明らかに紫。こいつが、ラミエルの代わりに送り込まれて来た新しい地球征服要員なのか?
「原始的な惑星だと思って少し侮り過ぎましたわね、おねえさま」
 今度は池の向かって左側にある小さな東屋みたいな建物の蔭から別な声がした。こっちは少し小柄で、もっと少女っぽい顔立ちと雰囲気をしている。肩を少し越えるぐらいの長さの髪を頭の左右でいわゆるツインテールにくくっている。そして彼女の髪も、ラミエルより淡い紫。
 間違いない。こいつらはラミエルの惑星の人類だ。それも今度は二人同時に送り込んで来たという事か?ラミエルの時の失敗で、相手の惑星の連中も本気でかかってきたという事か?その二人は不敵な微笑を顔に浮かべながら胸の前で腕組みをして立っていた。しかも二人とも黒っぽく見えるほど深い紺色のセーラー服を着ている。
 なるほど、最初から地球人の服を着こんでいるわけか。この辺はラミエルの時より進歩しているようだ。が、まだまだ甘いな。スカートの長さが、膝が隠れる程って、それは今の東京じゃないぞ。女子高生に化けるならスカートは最低でも膝上15センチ、麻耶の長さがスタンダードだろ?
< 113 / 214 >

この作品をシェア

pagetop