俺の彼女はインベーダー
 言われた通りにすると、ロボットの左腕が人間で言えばひじの辺りからすぽっと外れた。その残ったひじの辺りから、先の方が急に細くなった銃身のような物が伸びていた。
「あの、桂木さん。仕組みは分かりましたけど、なんでこんな所に武器が収納してあるんですか?普通に肩のあたりとかについてりゃよさそうなもんですけど」
「さあ、それはまあ、いろいろ設計上の問題があるんでしょうね」
「まさかこれ、精神力で撃つ銃だとか言わないでしょうね?」
「あはは、それはないわよ。それがラミエルさんに手伝ってもらった反陽子ビーム砲よ。ただし、地球の科学力じゃやっぱり限界があってね。いい、今から非常用電源に切り替えるわよ」
 すると操縦席の隅にある小さなランプが青から赤に変わり点滅を始めた。ピコン、ピコンという音も同時に鳴り始めた。
「な、何ですか、この音は?」
「メインバッテリーが切れて非常用電源に切り替わった合図よ。メインの電源が5分、非常用電源が約1分てとこね。そして、その反陽子ビーム砲は非常用電源が作動している時しか発射できないそうよ。つまり、そのロボットの胸のランプが青から赤に変わって点滅している時しか使えないわけ」
「なるほど。今ならその必殺技が使えるわけですか?」
「そういう事。じゃ、あの標的に向けて発射してみて」
 俺はスクリーンに出てきた照準表示で狙いを定め、操縦桿の上についている発射ボタンを押した。途端に銃口からまばゆい光が飛び出し、次の瞬間あの巨大なコンクリートの塊は跡形もなく吹き飛んだ。すごい!これは大した威力だ。それから十秒ほどしてロボットは動かなくなった。どうやら電源が完全に尽きたらしい。
 俺はロボットの操縦席から外へ出て、駆け寄ってきた二尉に興奮した口調で告げた。
「いや、すごいもんですね。見かけと違って威力はすごいもんだ」
 二尉は得意げに笑いながら言った。
「でしょ?反粒子兵器は地球でも研究はされていたけど、ラミエルさんの助けがなかったらまだ実用化はとうてい無理だったわ」
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