俺の彼女はインベーダー
 後で聞いた話だが、ラミエルの年齢は地球人のそれに換算すると十七歳だそうだ。麻耶より一個だけ上だ。なら服のデザインとかも年相応で、それなら街を歩いていても誰も宇宙人とは気づかないだろう。髪が紫なのはちょっと気になるが、もっと派手な色に染めている女の子がいるから、むしろ控えめな方かもしれない。
 俺としてはむしろ、なんで女子高生が上から下までフルセットの私服を持って夜の街を歩いていたのかという方が問題な気がしたが、どうせ妹にはやりこめられるだけだから、追求するのはやめにした。
 ラミエルがどこをどういじったのかは分からないが、銀色の宇宙服を体からはずし始めた。見たところボタンやファスナーの類はどこにも見当たらない。どういう構造になっているんだろう?と思って畳に座って眺めていたら、突然俺の視線を麻耶の体がさえぎった。
「……ちょっと、兄さん。いつまでそこにいる気?」
「へっ?」と俺は間抜けな声を出す。
「へ、じゃないでしょ!これから女の子が着替えするんだけど……き・が・え!」
 確かにラミエルは女性に見える。彼女の星の人類が地球人と同じ身体構造なら、確かに男と女の二種類に分類されて……
 なんて事を考えているうちに麻耶に片方の耳をつかまれ引きずられて、そのままアパートの廊下に叩き出された。
「覗くなよ!」と念を押して麻耶は俺の部屋に戻る。
 ラミエルの着替えが終るまで俺は暗い廊下で蚊の襲撃と戦いながら待たされる羽目になった。だが、俺の妄想に関しては逆効果だった。なんせボロアパートだから、ドアの向こうから麻耶とラミエルのこんな会話が聞こえてきてしまう。
< 14 / 214 >

この作品をシェア

pagetop