俺の彼女はインベーダー
相手もそれを悟ったようだった。サチエルはユミエルを自分の背中に隠すように立ちはだかり、両手を開いて手首を合わせ掌を花のように開き、そのまま自分の腰のあたりに引きつけて……ということは、次のボケというかセリフは……
「カ、メ、ハ、メ……」
あ、やっぱり。最後の一文字は彼女の手から放たれた衝撃波にかき消されて聞こえなかったが、俺と麻耶と二尉はその場で後ろ向きにずっこけた。俺たちの上をサチエルが放った衝撃で震える空気が突風になって通り過ぎて行く。
どうやら、あまりにも予想通りの展開だったので、麻耶も二尉も無事で、素早く起き上がって態勢を立て直す。まったく、イケスカンダル人の地球に関する知識って、どこか偏ってるぞ。
が、俺の後ろでドサっという重々しい音がした。何かと思って視線をそちらへ向けた俺は、全身の血が音を立てて凍りつくような気がした。そこにはラミエルが倒れていた。それも上半身血だらけで……ラミエルだけは、さっきの衝撃波をよけられず直撃を受けてしまったらしい。
ラミエルの体からどくどくと流れ出る血は赤かった。そうか、イケスカンダル人の血も俺たち地球人と同じ色なんだな……俺はショックのあまり、場違いな、馬鹿げた事が頭の中を駆け巡っていた。
真っ先に反応したのは麻耶だった。麻耶が何かを叫びながらラミエルに駆け寄り、抱き起こし、自分の両手をラミエルの血で真っ赤に染めながら、何かを大声で言っている。俺はまるでテレビ画面の中の、どこか遠い世界の出来事を見ているような感覚で、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。
そして突然、俺の聴覚がよみがえったかの様に、麻耶が「ラミちゃん!」と繰り返し叫ぶ声が聞こえ始めた。ラミエルはぐったりと麻耶の膝の上に横たわったまま反応がない。
麻耶がそっとラミエルの体を地面に横たえ、目に涙を浮かべて、しかし怒りに我を忘れた形相でサチエルたちの方へ向かって猛然と走りだした。俺はまだ夢の中にいるように頭が混乱していたが、反射的に麻耶の後を追った。
「カ、メ、ハ、メ……」
あ、やっぱり。最後の一文字は彼女の手から放たれた衝撃波にかき消されて聞こえなかったが、俺と麻耶と二尉はその場で後ろ向きにずっこけた。俺たちの上をサチエルが放った衝撃で震える空気が突風になって通り過ぎて行く。
どうやら、あまりにも予想通りの展開だったので、麻耶も二尉も無事で、素早く起き上がって態勢を立て直す。まったく、イケスカンダル人の地球に関する知識って、どこか偏ってるぞ。
が、俺の後ろでドサっという重々しい音がした。何かと思って視線をそちらへ向けた俺は、全身の血が音を立てて凍りつくような気がした。そこにはラミエルが倒れていた。それも上半身血だらけで……ラミエルだけは、さっきの衝撃波をよけられず直撃を受けてしまったらしい。
ラミエルの体からどくどくと流れ出る血は赤かった。そうか、イケスカンダル人の血も俺たち地球人と同じ色なんだな……俺はショックのあまり、場違いな、馬鹿げた事が頭の中を駆け巡っていた。
真っ先に反応したのは麻耶だった。麻耶が何かを叫びながらラミエルに駆け寄り、抱き起こし、自分の両手をラミエルの血で真っ赤に染めながら、何かを大声で言っている。俺はまるでテレビ画面の中の、どこか遠い世界の出来事を見ているような感覚で、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。
そして突然、俺の聴覚がよみがえったかの様に、麻耶が「ラミちゃん!」と繰り返し叫ぶ声が聞こえ始めた。ラミエルはぐったりと麻耶の膝の上に横たわったまま反応がない。
麻耶がそっとラミエルの体を地面に横たえ、目に涙を浮かべて、しかし怒りに我を忘れた形相でサチエルたちの方へ向かって猛然と走りだした。俺はまだ夢の中にいるように頭が混乱していたが、反射的に麻耶の後を追った。