俺の彼女はインベーダー
 数日後、まだ頭に包帯を巻いているが、すっかり元気を取り戻したラミエルを連れて、俺と麻耶は防衛省の俺たちのチームの作戦室へやって来た。桂木二尉は既に部屋にいて、俺たちはいつものように長机に座った。まず二尉が報告をしてくれた。
「やはり、ラミエルさんの血液細胞の構造は微妙に地球人とは違っていたようね。一時的に高熱にうなされたのは、赤血球の表面の分子構造がほんの少し違っていたから、らしいわ。でも深刻な症状は出なかったようだし、地球人との間で輸血が可能である事は証明されたわけ」
 俺は心の底から安堵して思わずため息を漏らした。いや、ほんとによかった。
「そして今日集まってもらった、本題はこれよ」
 二尉が机の上のスイッチを押すと、壁が大きく左右に開き隣の部屋が現れた。そしてその小部屋で椅子に腰かけていたのは、マクスウェルの魔女1号と2号!
「こ、この!」
 椅子を蹴倒して飛びかかろうとする麻耶を二尉が立ちふさがって止める。
「まあ、落ち着いて、麻耶ちゃん。この子たちには、本気で地球人を傷つけるつもりはなかったのよ。ラミエルさんが大けがをしたのは彼女たちにとっても計算外のハプニングだった」
「なんでそんな事が分かるのよ?」
「これよ」
 そう言って二尉は自分の机のパソコンのモニターの向きをくるっと俺たちの方に向けて、俺たちを手招きした。
「このデータをよく見てごらんなさい」
 俺がのぞいて見ると、それはこれまでのマクスウェルの魔女たちとの戦いで生じた被害の一覧表だった。二尉が指差した所には「人的被害」とあった。軽傷11名、重傷者1名、そして死者ゼロ……えっ!
「死者がゼロ?そんな馬鹿な!あれだけの被害が出たのに、ですか?」
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