俺の彼女はインベーダー
桂木二尉に背中を押されて俺は時空の穴へ入った。小夜ちゃんの声はぷつりと聞こえなくなった。後ろ髪を引かれる思いというのは、こういう気持ちを言うんだろうな。俺は後ろを振り返りたい衝動を無理やり抑えつけながら、俺たちの地球の21世紀に続く空間を速足で通り抜けた。
不意に太陽の光が戻って来て、俺は一瞬目がくらんだ。もう夕暮れに近い時刻だった。出た場所はあの高速道路の非常階段の出口だった。最後に桂木二尉が出てきて、無線で迎えを頼んでいた。
その時俺は、今出て来た時空の穴の形が崩れているように見えるのに気づいた。ついさっきまできれいな楕円形をしていたのに、今は縁がアメーバみたいにグニャグニャになっている。俺は傍らの道路の上に座り込んでいるラミエルに訊いてみた。
「なあ、あの時空の穴、様子が変じゃないか?」
ラミエルはよほど体力的にこたえているらしく、まだ肩で息をしながら答えた。
「あの世界はもうすぐ消滅しますから。わたしたちがあの球体を破壊したので、パラレルワールドは存在できなくなります」
「そうなのか?いや、ちょっと待て。だったら、あっち側の江戸の町にいた人たちはどうなるんだ?」
「それはもちろん、一緒にこの宇宙から消滅……あっ」
ラミエルは途中で言葉を呑みこんで、あわてて両手で自分の口を押さえた。だが、俺はもうそれに気づいていた。俺が踵を返して時空の穴の方へ歩き出すと、ラミエルと麻耶が後ろから追いかけて来た。
「早太さん、どこへ行くんですか?」
俺は振り向きもせずに返事した。
「決まってるだろ。小夜ちゃんを連れて来るんだ、こっちの世界に」
ラミエルは急いで俺の前にまわりこみ叫んだ。
「だめです!それは出来ません。そんな事をしたら、またパラレルワールドのバランスが不安定になって何が起きるか」
「けど、小夜ちゃんも消滅してしまうじゃないか、あの世界と一緒に!」
「そ、それは……」
不意に太陽の光が戻って来て、俺は一瞬目がくらんだ。もう夕暮れに近い時刻だった。出た場所はあの高速道路の非常階段の出口だった。最後に桂木二尉が出てきて、無線で迎えを頼んでいた。
その時俺は、今出て来た時空の穴の形が崩れているように見えるのに気づいた。ついさっきまできれいな楕円形をしていたのに、今は縁がアメーバみたいにグニャグニャになっている。俺は傍らの道路の上に座り込んでいるラミエルに訊いてみた。
「なあ、あの時空の穴、様子が変じゃないか?」
ラミエルはよほど体力的にこたえているらしく、まだ肩で息をしながら答えた。
「あの世界はもうすぐ消滅しますから。わたしたちがあの球体を破壊したので、パラレルワールドは存在できなくなります」
「そうなのか?いや、ちょっと待て。だったら、あっち側の江戸の町にいた人たちはどうなるんだ?」
「それはもちろん、一緒にこの宇宙から消滅……あっ」
ラミエルは途中で言葉を呑みこんで、あわてて両手で自分の口を押さえた。だが、俺はもうそれに気づいていた。俺が踵を返して時空の穴の方へ歩き出すと、ラミエルと麻耶が後ろから追いかけて来た。
「早太さん、どこへ行くんですか?」
俺は振り向きもせずに返事した。
「決まってるだろ。小夜ちゃんを連れて来るんだ、こっちの世界に」
ラミエルは急いで俺の前にまわりこみ叫んだ。
「だめです!それは出来ません。そんな事をしたら、またパラレルワールドのバランスが不安定になって何が起きるか」
「けど、小夜ちゃんも消滅してしまうじゃないか、あの世界と一緒に!」
「そ、それは……」