俺の彼女はインベーダー
 そういうわけで、翌日の昼前、俺たちは郊外のファミレスで待ち合わせる事になった。桂木二尉は調べ物が一つ残っているとかで、後から車で俺たちをそのファミレスで拾いに来る事になっていた。
 入り口で俺、麻耶、ラミエル、サチエル、ユミエルの5人が揃い、中に入りかけたところで大型のバンが駐車場に入って来て窓から桂木二尉が大声で呼びかけてきた。どうやら用事は思ったより早く済んだらしい。
 キャンプと言っても日の出町という、東京都の西の端っこにある田舎町のキャンプ場が行き先だ。全員ジーンズに半袖シャツという軽装。テントやたいていのキャンプ道具は現地で借りられるそうだし、食糧やらは桂木二尉の車にもう積んである。いたって身軽なもんだ。
 ちょうど時間が時間だったので、昼食はそのファミレスで済まして行くことにした。席についてウェイトレスさんが水をお絞りとメニューを運んで来る。髪の長い、細身のけっこう美人のウェイトレスさんだった。俺より少し年上かな?いや、それはいいんだが……
「では、ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
 テキパキとした仕事ぶりだし愛想もいい。慣れたウェイトレスさんのようだ。いや、それはいいんだが……
 俺たちのテーブルから離れて行くそのウェイトレスさんを思わず目で追っていたら、いきなり俺の右に座っている麻耶に思いっきりほっぺたをつねりあげられた。
「ちょっと、兄貴。ラミちゃんの目の前でよその女に見とれるとは、いい度胸してるわね」
 俺の左隣にすわっているラミエルが同じように俺の頬をつねりあげながら言う。
「そうですう!わたしという者がありながら~」
「い、いや、そうじゃねえって」
 俺は必死で二人の手を引きはがしながら説明した。
「ファミレスのウェイトレスが、腰に日本刀差して歩いてたら誰だって気になるだろうが!」
 そのウェイトレスさんは、奥から「おおい、ヤチヨ。パフェ作ってくれ」という女性の声が聞こえると「は~い!キョウコさん」と嬉しそうに返事して行ってしまった。
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