俺の彼女はインベーダー
 そんな事を考えながら歩いていたら、他のみんなから数十メートルも遅れてしまった。キャンプ場へ続く道路の端で歩みを速めようとしたら、背中にビリっと痛みが走った。振り返るとラミエルが頬をフグのように膨らませて俺の背中をこれでもかっ!ってぐらい思いきりつねっていた。
「イ、 イテテ。こら、ラミエル、何すんだ?」
「そんなに小夜ちゃんの事が忘れられないんですか?早太さんがロリコンだとは知りませんでした。わたしという者がありながら~」
「ば、馬鹿!ロリコンとは何だ!ロリコンとは、人聞きが悪いな、もう」
「どう違うんですか?」
 俺はスパコンをラミエルに返しながら反論した。
「俺はただ、子供好きなだけだよ。ほら、あれぐらいの年の子供って可愛いじゃないか、男の子でも女の子でも。それだけだよ」
 ラミエルは顔をわざとらしく俺の顔に近づけながら言った。
「ふーん。早太さんって子供好きだったんですか。だったら、そのうちわたしが……」
 ちょうどその時、俺たちの横を通り過ぎたトラックの騒音でその後の言葉は聞き取れなかった。俺が聞き直そうとしたら、ラミエルはもう俺から走り去って先を行っている麻耶たちの所へ行こうとしていた。俺は声を上げてラミエルに訊いた。
「そのうち、わたしが……その後なんて言ったんだ?」
 ラミエルは途中で立ち止まり、しかし質問には答えず笑って俺に向かって舌を出して見せた。
「べえ。いやです。二度も言ってあげません」
「何だよ、気になるじゃないか。何て言ったんだよ」
「忘れました~!麻耶ちゃん、待って」
 俺はラミエルを追いかけながら、ふと空を見上げた。それはいつもと変わらぬ、平和な地球の夕暮れの光景だった。そして俺たちが守り抜いた、美しい故郷の空だった。
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