俺の彼女はインベーダー
 彼女の星は文明や科学技術は地球よりはるかに進んでいるが、ありとあらゆる資源を使い果たす寸前まで来ていて、人口も減り続け、かつ下手に医学が発達しているせいで長生きの老人が全人口のなんと七割を占めているという。当然ラミエルのような若者は希少価値で手厚く保護されて育てられる。
 問題はその育て方だ。彼女の星では七歳になると親から引き離され、子供だけの施設で集団生活を送りつつ最高の教育を施される。かなり早い年齢のうちから、たとえば科学者向きとか、政治家向きとか、経済の専門家とか、そういう風に適性を見極められてそれぞれに必要な知識を与えられ、高度な訓練を受ける。
 なにせ若い世代の絶対数が少ないから、ラミエルの星の未来を担う貴重な人材として一人たりとも無駄にはできないという事らしい。
 ちなみに施設での毎日の食事は栄養バランスが完璧にコントロールされた宇宙食のような物をロボットが調理する。一般家庭でも料理はロボットや自動調理器がやるそうだ。一見夢のような未来世界のような気もするが、味気ないと言えば味気ない話だ。
 彼女が「人の手で料理した物を食べたのは初めて」と言ったのは、嘘でも大げさでもなかったわけだ。
「で、彼氏とかいなかったの?」
 これは麻耶だ。まったく、人が真剣な話してる時になんでそっちへ話が行く?ラミエルが答える。
「私の星では原則として結婚まで男女交際は禁止です。そもそも結婚するまで男と女が接触すること自体滅多にありません。生活する施設も、住んでいる居住区自体が男女別に分かれていますから」
「ちょ、ちょっと待って!」
 麻耶があわてた様にラミエルの話をさえぎる。
「じゃ、結婚相手はどうやって探すのよ?男の子と会うことすら出来ないみたいじゃない、それじゃ」
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